新型コロナウイルス感染症について
当院では現在発熱外来を設置しており、幅広く発熱患者様を受け入れております。ただし原則お電話のみでの完全予約制となっております。直接受診やネット予約では診察できませんのであらかじめご了承ください。発熱患者様はまずは院外(写真下)にて新型コロナウイルス抗原検査もしくはPCR検査、場合によってはインフルエンザ抗原検査を受けていただき、陰性を確認したのち院内での診察となります。陽性と判明した場合は、すべて院外での診療となります。1人の医師で通常診療も行いつつ、発熱外来も対応しておりますので、予約を取っていても、一連の診療が1~2時間かかる場合もございます。あらかじめご了承ください。
発熱とは(一般的な内容)
発熱とは各種病因により、体温調節中枢に障害を来し、体温が正常レベルより高い状態に維持されている状態をいいます。一般に37~37.9℃を微熱、38℃以上を高熱と呼びます。発熱を主訴にクリニックを受診する患者さんは非常に多いですが、その多くは感染による発熱で、生命を脅かすほどの重症であることは多くはありませんが、中には緊急を要する場合もあり、適切に初期評価を行う必要があります。また、高齢者や乳幼児、免疫能の低下した患者さんでは重症化しやすいため特別な配慮が必要です。さらに、成人においては、感染症以外の原因も常に考慮しなければなりません。
発熱の原因と鑑別診断
①感染症
呼吸器:細菌性肺炎、扁桃周囲膿瘍、喉頭蓋炎、中耳炎、副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、結核など
循環器:心内膜炎、心外膜炎など
消化器:消化管穿孔、腹膜炎、虫垂炎、胆嚢炎、急性胆管炎、腹腔内膿瘍、急性膵炎、憩室炎、腸炎など
神経:髄膜炎、脳炎、脳膿瘍など
泌尿生殖器:腎盂腎炎、卵管・卵巣膿瘍、骨盤内炎症疾患、膀胱炎、副睾丸炎、前立腺炎など
皮膚軟部組織:壊死性筋膜炎、蜂窩織炎、褥瘡感染、軟部組織膿瘍、骨髄炎など
全身性:敗血症
②感染症以外の原因による発熱
悪性腫瘍、膠原病、薬物による発熱、アレルギー、熱中症、悪性高体温症、悪性症候群、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、視床下部障害など
診療の進め方(発熱全般として)
問診:まずは病歴の聴取を行います。発熱の発症時期や期間、最高体温、日内変動や周期性を聞きます。次に随伴症状の有無を聴取します。疼痛、意識障害、痙攣、頭痛、咽頭痛、呼吸困難、咳、痰、胸痛、嘔気、食欲不振、腹痛、下痢、血便、血尿、排尿痛、背部痛、悪寒、関節痛などです。この時点で発熱のおおよその原因がわかります。既往歴や社会歴、内服歴、渡航歴の聴取も行います。また発熱疾患の流行や、周囲での同時発症がないかも確認します。例えばインフルエンザが流行している地域で、高熱と関節痛が見られれば、まずインフルエンザを第一に疑います。
身体診察:発熱に伴う随伴症状がある場合は、それらから考えられる鑑別診断を念頭に置きながら、全身を診察します。
1. 耳鼻咽喉科領域:中耳炎の所見、副鼻腔の叩打痛
2. 口腔内:う歯、歯肉、扁桃、咽頭
3. 頸部:リンパ節腫脹、甲状腺腫大や圧痛、項部硬直
4. 胸部:呼吸音の異常、心雑音、摩擦音
5. 腹部:圧痛、肝脾腫
6. 背部:腰背部叩打痛、椎骨叩打痛
7. 直腸診:直腸周囲の圧痛、前立腺の圧痛
8. 皮膚:皮疹、出血斑、褥瘡
9. 四肢:発赤、腫脹、関節腫脹・圧痛
検査:当院では採血検査、尿検査、胸部レントゲン撮影、各種培養検査、ウイルス・細菌迅速検査、超音波検査などを行い診断します。新型コロナウイルスの検査は行っておりません。
初期治療(発熱全般として)
安易な解熱剤の投与は避けますが、発熱が著しく患者さんに有害と判断される場合は解熱剤の投与と冷却処置を行います。発熱患者は脱水を伴っていることが多く、補液を考慮します。特に高齢者では脱水を来しやすいです。
当院では発熱患者様すべてに対して、来院した時点で、緊急性の有無を判断、トリアージをさせていただきます。可能な限り確定診断を付けてから、治療を開始させていただきます。また重症と判断される患者様には初期治療を行いつつ、速やかに提携医療機関へご紹介させていただきます。