下痢

下痢とは

下痢とは便の中の水分量が増えることによって、軟便や水様便となった状態をいいます。当院を受診される下痢の患者さんのほとんどは感染性腸炎によるものですが、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)や過敏性腸症候群などの慢性的な下痢を来す疾患もあり、注意深い鑑別が必要です。下痢にお困りの方はぜひ当院へご相談ください。

原因

感染性:各種ウイルス性腸炎、細菌性腸炎が挙げられます。急性下痢のほとんどは感染性です。詳しくは感染性腸炎の項をご参照ください。

非感染性潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群(IBS)虚血性大腸炎、慢性膵炎、胃切除後、甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群、Zollinger-Ellison症候群、VIPoma、カルチノイド症候群など、Cllagenous Colitis、薬剤性などが挙げられます。詳しくは各疾患の項をご参照ください。

診断

最も重要なのが問診です。急性発症か、慢性か、家族に同様の症状の人がいないか、生ものなどの摂取歴はないか、下剤や抗生物質などの薬剤を飲んでいないかなど、問診でおおよその検討を付けることが可能です。急性発症で腹痛や嘔吐などを伴っていれば、ほとんどのケースは感染性です。問診の後に身体診察を行います。発熱や血圧低下、頻脈、意識障害などの脱水所見を伴っていれば、輸液を行います。腹部の圧痛や血便の有無も確認します。また血液検査にて炎症所見の有無、腹部超音波検査にて腹水や腸管の浮腫の有無などを検査します。ノロウイルス腸炎ロタウイルス腸炎、偽膜性腸炎が疑われれば、抗原検査を行う場合もあります。また便培養検査にて起因菌の特定を行います。慢性の経過や、血便がある場合など、大腸内視鏡検査を行う場合もあります。

治療

ウイルス性腸炎や軽症の細菌性腸炎が疑われる場合で、全身状態が良好であれば、整腸剤や鎮痛剤などにて対症療法を行います。症状が強い場合、血便を伴う場合、特定の細菌感染が疑われる場合には抗生物質を処方する場合もありますが、並行して原因検索を行うことが重要です。止痢剤は基本的には処方しません。脱水症状、嘔気嘔吐を認める場合は、輸液や制吐剤の投与を行います。非感染性の場合は、原因に応じた治療が選択されます。

水分摂取ができない、意識障害、高熱、血便、強い腹痛を伴う、血液検査で高度の炎症所見や貧血を伴うなどがあれば、提供医療機関へ速やかに搬送させていただく場合もあります。