便潜血(便潜血検査)

はじめに

大腸癌は日本人では男性、女性ともに2番目に多い癌です。近年増加化傾向にあります。多くの癌に共通することですが、大腸癌も早期にはほとんど症状がありません。症状が出たときには、かなり進行していて、手遅れであることもしばしば経験します。そのため早期発見のためには、便潜血検査(いわゆる大腸癌検診)を受けることが非常に重要です。便潜血検査はがん検診の中で、最も簡便な検査の一つです。複数の疫学調査でも、大腸癌の死亡率減少効果が証明されています。最近では、早期の癌であれば開腹せずに、内視鏡での治療が可能となりました。

方法

便潜血検査には化学的便潜血検査と免疫学的便潜血検査がありますが、現在主に用いられているのが後者です。1日法、2日法、3日法とありますが、感度・特異度の点から、2日法が最も推奨されます。採便方法については、便の内部よりも表面の方が血液の存在している部位が多いことから、便の縦軸方向に数回なぞることが勧められます。さいたま市の大腸がん検診でも免疫学的便潜血検査2日法が用いられております。当院での検査の流れですが、まず一度ご来院いただき、採便キットをお持ち帰りいただきます。2日分の便を採便した後に速やかに提出してください。検査は数日で結果が出ます(さいたま市がん検診の場合は1週間程度)ので、再度ご来院ください。合計3回の来院が必要となります。

診断

便潜血検査で1回でも陽性と出た方は、必ず大腸内視鏡検査を行います。できれば便潜血検査を行ってから1か月以内に大腸内視鏡検査を受けられることが勧められます。なぜならば進行した大腸癌が見つかった場合、速やかな治療が必要だからです。当院では、1週間以内の大腸内視鏡検査、場合によっては当日検査も可能です。また鎮静剤を使用した苦痛のない検査も行っておりますので、便潜血陽性の方はぜひ当院へお問い合わせください。

問題点

便潜血検査の問題点ですが、ごく早期の大腸癌やポリープは、便潜血検査でも陽性とならないこともあり(早期癌では50%程度の検出率)。40歳を過ぎた方は、一度大腸内視鏡検査を受けることが勧められます。