大腸憩室出血

大腸憩室とは

大腸憩室とは、腸管内圧の上昇により粘膜+粘膜筋板のみが腸管壁の抵抗減弱部位より脱出して発生する仮性憩室です。本邦では3/4が右側結腸に生じます。大腸検査を行うと10%くらいの頻度で見つかる比較的ありふれた病気ですが、出血や憩室炎を起こすと治療が必要となります。

憩室出血

大腸憩室を走行する直動脈が突然裂けて出血を来します。通常は腹痛は生じません。自然に止血することもありますが、大量出血し、輸血や内視鏡的止血術、カテーテル塞栓術、外科手術が必要となる場合があります。出血した場合には、緊急内視鏡検査を行い、出血部位が同定されれば、クリップ止血術を行いますが、通常憩室は多発しており、どこが出血部位か同定できない場合もあります。憩室は自然になくなることはないため、いったん止血しても、また出血する可能性もあります。

腹痛や発熱がないにもかかわらず、突然大量の血便を来した場合は、第一に大腸憩室出血を疑い、提携医療機関へご紹介させていただきます。

クリップ止血術にて止血できた上行結腸憩室出血の一例。