風邪症候群(かぜ)

風邪症候群とは

風邪症候群とはいわゆる「かぜ」「感冒」「急性上気道炎」と同義で、ウイルスや細菌感染によって起こる上気道(鼻腔~咽頭)の急性炎症をいいます。典型的な症状は、鼻汁、鼻閉、くしゃみ、咽頭痛、咳や痰、発熱などです。原因はウイルスが大半を占めますが、マイコプラズマ(マイコプラズマ肺炎の項参照)、溶連菌、クラミジア、一般細菌なども原因として挙げられます。

診断

周囲の流行状況、問診と身体診察により通常は容易に診断可能です。また特徴のある所見から、起因となるウイルスを予測することも可能です。また当院ではインフルエンザ、溶連菌、マイコプラズマ、アデノウイルスの迅速診断が可能です。必要に応じて胸部レントゲン検査、尿検査、血算、CRP測定、腹部超音波検査を行います。

ここで注意すべき点は、一見風邪のように見えても、重篤な疾患が潜んでいる場合がまれにみられることです。安易に風邪と診断せず、当院では以下の鑑別を行うように心がけています。

小児の場合インフルエンザマイコプラズマ肺炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭膿瘍、溶連菌感染、川崎病、髄膜炎、肺炎、気管支喘息、結核、急性喉頭蓋炎、クループ、腹部や尿路の感染症、白血病など悪性腫瘍。

成人の場合インフルエンザマイコプラズマ肺炎副鼻腔炎、咽頭膿瘍、溶連菌感染、髄膜炎、肺炎、気管支喘息、結核、肺癌などの悪性腫瘍、急性肝炎、感染性心内膜炎、敗血症、腹部・尿路・骨軟部などの感染症、膠原病、薬剤熱など。

治療

ほとんどはウイルス感染であり、自宅療養で自然軽快することがほとんどです。対症療法として解熱鎮痛薬、抗炎症薬、鎮咳薬、去痰薬、抗アレルギー薬などを処方します。抗生物質を処方することは基本的にありませんが、細菌感染が強く疑われる場合やハイリスク患者に限り投与を考慮します。