ニキビ

はじめに

ニキビは「尋常性ざ瘡」と呼ばれ、思春期に顔などを中心に、脂漏部位の毛包に一致して、紅色丘疹などを来す疾患です。ほとんどの人が経験し、生命に直結する疾患ではないため、軽視されがちですが、不快な症状を来すだけではありません。中高生においては、容姿コンプレックスの形成や、場合によっては集中力や学力低下、いじめや不登校の原因となってしまいます。成人においても、就職や恋愛などの様々なライフイベントに影響を及ぼし、生活の質が低下してしまいます。またニキビは治癒後も瘢痕を残すことがあります。早期の治療介入により、このような弊害を防げるだけでなく、瘢痕も予防することが期待できます。

原因・症状

思春期になり、血中のアンドロゲン/エストロゲン比が高まることで、皮脂腺が増殖、皮脂の産生が亢進します。また毛包漏斗部の角化亢進により、皮脂が毛包内に貯留し面皰の形成が起こります(いわゆるコメド)。黄白色の小結節として見える閉鎖面皰(白ニキビ)と、黒い点として見える解放面皰(黒ニキビ)があります。そこに、皮膚の常在菌であるアクネ菌(P.acnes)が増殖し、炎症を引き起こします(炎症性皮疹、いわゆる赤ニキビ)。紅色丘疹、膿疱、ときには硬結を来し、徐々に軽快しますが、瘢痕を残す場合もあります。

治療

当院ではガイドラインに従って、重症度に応じた治療を行います。すべて健康保険が適応されます。

原因の除去:

ニキビになりやすい原因として、遺伝的素因、年齢、食事、睡眠不足、ストレス、女性の場合は化粧や生理などがあります。まずは、これらのうち、改善可能なものは指導を行います。食生活に関しては、ニキビとの関係のある特定の食べ物はありませんが、バランスの良い食事を規則正しく摂取することが推奨されます。

スキンケア:

朝夜の1日2回の洗顔を指導します。基礎化粧品については、低刺激、ノンコメドジェニックなものが推奨されます。

薬物療法:下記の薬物を単剤、もしくは組み合わせて使用します。

外用抗菌薬:殺菌作用と抗炎症作用があります。炎症性皮疹に有効です。12週間を上限に使用します。

内用抗菌薬:殺菌作用と抗炎症作用があります。中等症~重症・最重症の炎症性皮疹に短期間使用します。

過酸化ベンゾイル:強い酸化作用があり、アクネ菌に対して殺菌的に作用します。

アダパレン:表皮角化細胞の分化が抑制され、面皰と炎症性皮疹が減少することが考えられます。

アダパレン・過酸化ベンゾイル配合剤:アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合剤で単剤より強力に作用します。