黄疸

黄疸とは

黄疸とは血液中のビリルビン濃度が増加することで、皮膚や眼球結膜などに黄染を来すことをいいます。通常、ビリルビン値が2~3mg/dlを超えると顕性(目に見えてわかる)となります。黄疸を理解するためにはまず、ビリルビンについて理解する必要があります。ビリルビンは寿命を迎えた赤血球(ヘモグロビン)が網内系で分解される過程で生じる物質で、間接ビリルビンとなって血中に入ります。間接ビリルビンは肝臓でグルクロン酸抱合という処理を受けると、直接ビリルビンとなって、胆管を通って胆汁中に排泄されます。直接ビリルビンは腸内細菌によってウロビリノーゲンとなります。ウロビリノーゲンはステルコビリンとなって糞便中に排泄されますが、ウロビリノーゲンの一部は腸肝循環によって再吸収されます。このビリルビン代謝経路のいずれかが障害されると、黄疸となります。

黄疸の鑑別、診断

黄疸の患者さんに対して問診や身体診察ののちに血液検査を行います。直接ビリルビン優位か間接ビリルビン優位かで図のように鑑別されますが、いずれの場合でも腹部超音波検査などの画像検査を行うことが重要です。明らかな胆管拡張が見られれば、閉塞性黄疸と診断し、原因を検索します。腹部超音波検査にて確認できますが、頻度の高いものとして総胆管結石、胆管癌、膵頭部癌、十二指腸乳頭部癌(下図)が挙げられます。

 

腫瘍の場合は自覚症状が黄疸以外になく、高度の黄疸を伴ってから受診される患者さんもおられます。また胆管炎や胆嚢炎などの感染を伴っている場合には、黄疸は軽微でも、発熱腹痛を主訴に来院されます。一方、胆管拡張を認めない場合は、急性肝炎慢性肝炎などを疑い、ウイルスマーカーや自己抗体検査を行うと同時に、服薬歴やアルコール歴、海外渡航歴、輸血歴、生肉の摂取歴などを聴取します。間接ビリルビン優位の場合では、溶血がない場合には腹部超音波検査を行い、肝硬変や肝癌を除外することが必要です。

治療

閉塞性黄疸では胆道ドレナージによる速やかな減黄が必要です。また感染を伴っている場合は胆道ドレナージに加えて抗菌薬の投与が必要となります。基本的には全例提携医療機関に速やかにご紹介させていただきます。閉塞性黄疸以外の黄疸では、症状やビリルビン値、肝障害が軽微の場合は、外来にてウイルスマーカーや自己抗体検査などを行う場合もあります。

気になる症状がおありの方は、当院へご相談ください。