大腸ポリープについて
大腸粘膜に隆起する組織を大腸ポリープといいます。ポリープは、直腸とS状結腸に高い確率で発生し、大きさは数ミリから3cm程度まであります。大きく腫瘍性、非腫瘍性に分けられます。
問題となってくるのが腫瘍性のポリープで、この中でも良性腫瘍と悪性腫瘍があります。腫瘍性ポリープの場合、良性といっても多くは腺腫(せんしゅ)と呼ばれる腫瘍で、放置しておけば徐々に大きくなり悪性、すなわち大腸癌へと進展する事があります。良性の腺腫の状態で切除をすることが必要です。
適応
当院では直径2cmまでのポリープを日帰りで切除させていただきます。特に数の制限はありませんが、5個以上に及ぶ場合、大きいポリープのみの切除とさせていただく場合があります。一般的に5mm未満のポリープは1~2年後の経過観察で問題ないことが多いためです。ただし小さいポリープでも癌や癌になりやすいポリープはNBIでしっかり確認し、必要であれば切除させていただきます。ポリープは1個当たり5分前後で切除可能ですが、処置が長時間になり、数も増えると、患者様のお体の負担や、出血の合併症の頻度が大きくなります。当院では内視鏡専門医の資格を持った、症例経験豊富な院長自ら、安全に処置を行わせていただきます。
抗血栓薬を内服されている方は、出血の危険性が増すことから、休薬した後に改めて別の日に切除を予定させていただきます。休薬困難な方、2剤以上の抗血栓薬を内服されている方は、個別にご相談、もしくは入院にて切除できる医療機関へご紹介させていただきます。
術前準備
まず書面にて大腸ポリープ切除についての説明を行わせていただきます。目的や方法、合併症、術後の生活指導などをご説明させていただき、同意を得られた方に対してのみ処置を行います。特に術後の生活指導(術後10日間は飲酒、運動や力仕事、遠出などを控えていただきます。)をお約束できない方は、切除を控えさせていただきます。
大腸ポリープ切除では出血や穿孔のリスクがあり、また電気を使用します。そのため事前に採血検査、心電図検査を行っていただきます(事前、もしくは当日)。
大腸ポリープ切除を希望される方は、あらかじめ内視鏡を始める前に、体の金属類、湿布などをすべて外していただきます。またポリープを切除する直前には、生体情報モニターを装着し、対極板(電気を逃がすシール)を大腿などに貼付します。
方法
ポリペクトミーの場合:
①スネアでポリープを捕えます。
②スネアのループをゆっくりと絞ります。
③高周波電流を流しながら、ループを絞り切除します。cold snare polypectomyの場合は通電せずに切除を行います。
④切除されたポリープを回収し、病理組織学的検査へ提出します。
⑤最後に欠損創をクリップを用いて縫縮し終了します。
粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection)の場合:
①病変の向こう側に局注針を穿刺します。
②局注液(生理食塩水など)を注入し病変を膨隆させます。
③スネアを開き、ループを広げて病変を捕捉します。一括切除ができるよう、取り残しができないように留意します。
④ループを絞り通電します。
⑤緊迫した状態で通電するうちに、ポリープは切除されます。遺残が確認された場合は、追加で局注や切除を行うこともあります。微少量であれば、スネアの先端で焼灼する場合もあります。
⑥切除されたポリープを回収し、病理組織学的検査へ提出します。
⑦最後に欠損創をクリップを用いて縫縮し終了します。
実際のEMR画像:
術後
処置が終わりましたら帰宅可能です。当日は自宅療養していただき、外出や入浴は控えてください。水分は帰宅直後から摂取していただいてもかまいません。お食事は刺激が少ない、消化の良いものを食べましょう。10日間はお酒、運動や力仕事、旅行は控えてください。
2~3週間後に病理組織学検査の結果をご説明しますので受診してください。結果が問題なければ、通常は1年後の経過観察となります。
費用
大腸内視鏡検査のみ 約2,000円(1割負担) 約7,000円(3割負担)
大腸内視鏡検査+病理組織検査※ 約4,000円(1割負担) 約10,000~20,000円(3割負担)
大腸内視鏡ポリープ切除術※ 約8,000円~ (1割負担)約20,000~24,000円(3割負担)
※費用はあくまでも目安です。詳細は直接当院までお問い合わせ下さい。
※病理組織検査…組織の一部をとります。臓器数によりお値段がかわります。