貧血とは
貧血とは血液中のヘモグロビン(Hb)の量が成人男性で13g/dl未満、女性で12g/dl未満と定義されています。しかし実際に症状が出るのは7~8g/dlになってからです。赤血球は骨髄で作られ、寿命がおよそ120日となっています。そのため赤血球が作られない、もしくはどんどん壊されたり、漏れ出てしまっている場合、貧血となってしまいます。貧血の原因には様々なものがありますが、本邦では約70%が鉄欠乏性貧血です。
症状
赤血球は酸素の運搬を担っていますので、貧血になると、全身に酸素がいきわたりにくくなり、易疲労感や倦怠感、めまいや立ち眩み、動悸や息切れ、頻脈といった症状が現れます。また皮膚は蒼白となります。身体診察では、眼瞼結膜を診察しますが、貧血の有無や程度を確認するためです。
診断
当院では全自動血球計数器を用いて院内で速やかに貧血の有無を検査することが可能です。貧血は鉄欠乏性貧血に代表される小球性貧血、正球性貧血、大救性貧血に分類されますが、これらのタイプについても院内で迅速に診断が可能です。臨床でみられるほとんどは鉄欠乏性貧血ですので、以下に詳しく説明します。白血病や再生不良性貧血などの専門的治療を要する貧血と診断されれば、提携医療機関へご紹介させていただきます。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血とは、鉄欠乏により骨髄でのHbの合成が障害される、小球性貧血です。本邦男性の0.5%、女性の1割弱で鉄欠乏性貧血が見られます。原因として最も多いのが、鉄の過剰喪失によるもので、月経過多、子宮筋腫、消化器癌(胃癌、大腸癌など)、消化性潰瘍、痔などからの慢性出血です。
消化管出血や消化器癌が疑われるエピソード(黒色便、血便、腹痛や下痢、便秘、食欲不振、体重減少など)があれば、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や便潜血検査、生化学検査、大腸内視鏡検査、腹部CT(提携医療機関にて)を施行させていただきます。
治療は原因が特定できれば、原因に対する治療を優先しますが、並行して食事指導や鉄剤の内服を開始します。高度の貧血を認めた場合は、輸血が必要となります(提携医療機関にて)。