心筋梗塞

はじめに

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割がありますが、心臓自体も自身を動かすために、血液が供給されています。この心臓を栄養する血管が冠動脈ですが、心臓の左右に一本ずつあります。心筋梗塞とは冠動脈の閉塞、または狭窄により、その血流域の心筋が壊死した状態をいいます(下図)。一方、血流の滞りが一時的であり、心筋が壊死までは来さない状態が狭心症です。心筋梗塞は年間15万人が発症し、約4万人が死亡する疾患であり、突然死の大きな原因でもあります。一度心筋が壊死してしまうと、元通りにはならないため、早期診断・早期治療が非常に重要です。

危険因子

①喫煙、②高血圧、③高脂血症、④糖尿病は4大危険因子と呼ばれます。

症状

突然の締め付けられるような胸痛が15分以上続き、左肩などに放散します。嘔気、嘔吐、心窩部痛、冷や汗、呼吸困難感などで発症する場合もあります。嘔気や腹痛で消化器内科を受診された患者さんが、実は心筋梗塞だった、ということも日常診療ではよくあります。また高齢者や女性、糖尿病患者さんでは症状がない場合もあり注意が必要です。

診断

①典型的な胸部症状、②心電図変化、③心筋マーカーの上昇、のうち2つ以上を満たすとき心筋梗塞と診断されます。当院では12誘導心電図、トロポニンT迅速検査が院内で施行可能であり、病院と同様速やかな確定診断が可能です。さらに、当院では心臓超音波検査にて、心臓の動きをチェックします。心筋梗塞が疑われた時点で、提携医療機関へ速やかに搬送させていただきます。

治療

急性期の治療としてまず安静の上、酸素投与、輸液ルートの確保、心電図モニターの装着を行います。硝酸薬、アスピリン、モルヒネの投与を行います。専門医療機関にて、緊急カテーテル検査、経皮的冠動脈形成術(PCI)が行われます。